「失礼します」 そこはまるで会議室のようで、折り畳みタイプの机と椅子が部屋の片隅にまとめられていた。 窓からフィールドを見るように立っていた監督が、俺の声に振り返る。 と、もう一人。 「・・・お疲れ、大地君」 年は50代ぐらいだろうか。ワックスでセットされた髪の毛に、黒のスーツと赤いネクタイがとても似合っている。 「ありがとう、ございます」 その姿に、俺は見覚えがあった。