そこにはユニホーム姿のまま走って、外に出て行く葉月の姿が。


それに続いて平松が出て行くのが分かる。


俺も急いでその後を追おうと、タオルと持っていたスポーツドリンクを投げ捨て、閉まったドアに手をかけると。



「莉奈、私が行ってくるから葉月君の事は心配しないで・・・!」



廊下から聞こえた彼女の声が、鼓膜を震わせる。



ドアノブを握る手に力が入るが、やはり開けるのを躊躇してしまう。


“あんなこと”した俺に、今更彼女を追う権利なんか無いというのは重々承知だ。




だけど、それでもやっぱり。



――――行かせたくない。




今、行かせたら、葉月の気持ちが相川さんにいってしまうかもしれない。二人が付き合ったら俺は、笑って祝福なんて出来ない。



だから、まだ、相川さんの片想いであるうちに。



「っ、」



急いでドアを開けたときにはもう、彼女は走り出していた。