「大地、先輩」

「・・・琴美」



揺れ動く濡れた瞳。

琴美も悔しいに違いない。中学の頃から、国立を夢見てた一人なんだから。



「さっき、相手高の赤堀っていう人が、ミーティング終わったら来てくれって言ってました」

「・・・あぁ」



半ば放心状態の体に鞭を打ち、立ち上がる。スポーツドリンクを手に取り、タオルで髪の毛を無造作に拭く。



と。



「おい、葉月っ!」



誰かがそう呼ぶ声が聞こえて、ハッと顔をあげる。