「・・・ごめ、ん・・・相川」
「・・・ん?」
嗚咽で上手く喋れないけれど、一生懸命言葉を紡ぐ葉月君。
宇宙の果てにいる孤独から歩み寄るように、静かに言葉を続けた。
「しばらく、こうさせて」
そう言うと、私の肩に顔を埋めた葉月君。
小さく嗚咽をたてながら、必死に泣くのを堪えている様に思える。
私はそんな彼の背中に手をあて、一定のリズムを刻ませる。まるで幼い子供をあやすように。
「葉月君」
「・・・」
「来年は、国立に連れてってね」
「・・・・・・おー・・・」
「約束だよ」
無力な私が、彼に出来ること。
それは、大好きな人の代わりに、傍にいることだった。