確かに、日向君もショックを受けてるに違いない。


それは日向君だけじゃない。平松君やこれが最後の大会だった3年生、応援に来た全校生徒。OBの人達だって悔しがってるに違いない。


だけど。



「一番悔しいのは、葉月君でしょ・・・」



「っ」



「私、莉奈から沢山葉月くんの事聞いたよ。一人で練習してるとか、毎日走ってるとか、莉奈ね嬉しそうに話すんだ。日向君と平松君に負けたくなくて、努力してること」



「・・・」



「誰かが葉月君を責めても、私は味方でいるよ。私は葉月君が頑張ってることを聞いてたから、例え日向君が葉月君を責めたとしても、私は葉月君の味方でいる」



目の前にいる葉月君は、ポロポロと大粒の涙を零し始めた。手を壁から離し、それを拭う。


拭っても拭っても、あふれ出てくるのはそれだけ本気だった証拠。