「っ、はっ・・・はあっ・・・」
薄暗い廊下の端にある、誰も使っていない部屋に、葉月君は居た。
中に静かに入ると、外側は窓ガラスで中が見えるような仕様だった。
「葉月、君・・・」
自分でも情けないほど小さくて、微かに震えてしまった声。
だけど一度出した言葉は空気中に既に空気中に溶けてしまって、消すことは出来ない。
そんな声に一瞬、肩を上げた葉月君。
背中を向けていて表情は分からない。
「葉月く「来んな・・・!!」
大きく荒げた声に、思わず足が止まる。
だけど、唇をかみ締めて静かに葉月君の後ろに立つ。