どれぐらい待ったのだろうか。10分かもしれなければ、30分かもしれない。だけど私には果てしなく長く感じた。 中から聞こえた物音に、莉奈がハッと俯いていた顔を上げた。 「おい、葉月っ!」 そう呼ぶ誰かの声とともに、ゆっくりと開かれた扉。 「っ」 「・・・、」 何て声をかけようか一瞬迷ったが、迷うも何もそれ以前に、声が出てこなかった。 目を真っ赤に腫らした、彼の表情を見たら。