日向君がドリブルで相手を抜いていく。
決勝という、特別な舞台だからだろうか。以前見た日向君より、ずっと輝いてカッコよく見えるのは。
今、私がいる場所と日向君がいる場所が違うように。
私と日向君のいる世界が違うように思える。
・・・ううん、違う。思えるんじゃなくてそうなんだ。
最初から私と日向君では居る世界が違った。
彼は将来有望のサッカープレイヤーであり、学年の人気者でもある。一方私は冴えない普通の女子高生。
それがたまたま、仲良くなって、一緒に居るようになった。
日向君からメールがこなくなったってそれは、日向君と出逢う前の日常に戻っただけ。
それだけ、だ。