―――――――――・・・
――――――・・・
「うわ~次は安定の英単語テストだ」
莉奈のその一言で、やっと実感した気がする。
修学旅行が終わったんだ、って。
「修学旅行からもう3日も経つなんて実感ないね」
3日目は戦争体験記という日で、チビチリガマやシムクガマというガマに行ったり、体験談を聞いたり、ひめゆりの塔や平和記念館を訪れた。
観光というよりは勉強で、そこで話してくれたおばあちゃんがこう言ったんだ。
『貴方達世代が、最後なのよ。あたしたちの話を聞けるのは。もう、この世界に戦争体験者は減ってきてね・・・。だから、お願いね・・・今聴いた話を忘れないでちょうだい。自分達の子供に、きちんと伝えてください。それが私のお願いです』
綺麗な顔に刻まれた皺を通る、何粒かの涙。
みんな泣いていた。普段おちゃらけてる男子も、賑やかな女子も、みんな。
“最後の世代”
これから産まれてくる子は、もう聞くことができない体験談。
それはとても残酷で、だけど目を逸らせない現実だった。