見たくなかったんだ。

キスしてるところなんて。


「葉月君・・・」



駄目だ。これじゃあ相川を困らせるだけだ。



「そういや、相川はどうだった?大地に呼び出されたんだろ?」



無理矢理繕う笑顔に、きっと相川は気づいてる。

だけど、それでも気づかないフリをしてくれるのが相川の優しさだ。



「・・・何も、なかったよ」

「嘘だ~」

「本当だって・・・!ただ、ちょっと話しただけで」



ああ・・・どこまで相川は優しくて、嘘が下手なんだろう。

早く二人が幸せになればいいのに。

相川のポケットから見える、白いストラップを見ながら心の底からそう思ったんだ。



二人に何があったかなんて、知らない俺は。



-葉月健人side end-