ま、どっちにしろ俺の心の蟠(ワダカマ)りをサッカーに持ち出すほど子供じゃない。 ポケットに入れていた携帯が震える。そういえばマナーモードのままだった。 「・・・」 先手必勝。ってことで。 「平松、ちょっと行って来る」 「おー」 俺は起き上がって、パーカーを羽織り扉を開けた。 沖縄の夜は少し肌寒いだけで、俺たちの田舎に比べたら全然暖かいほうだ。 俺は音を立てないように、ゆっくりと非常階段へと向かった。