呼ばれた莉奈の名前に、莉奈だけでなく何故か私もつられて振り向いてしまった。


そこには――――。



「っ、え!? な、え!?」



驚きのあまり自然と足が後ろに下がり、滑って転びそうになるが何とか踏ん張る。ここでペンキを零したら大惨事だ。廊下が真っ赤に染まってしまう。


驚く私に比べ、莉奈は声さえもあげない。


それどころか冷静に口を開いた。




「なーにやってんのよ、健人」

「ちぇっ、少しぐらい驚いてくれたっていいじゃねーか。つまんねーな」



そう言いながら、どこからか持ってきたのかわからないお化けの被り物を外す葉月君。


以前莉奈から聞いたことがあるが、莉奈と葉月君は幼馴染らしい。



「相川の反応はナイスだったぜ!」

「え、あ、ありがとう……?」


今のは褒められたのかよく分からなかったけれど、考える前にお礼を言っていた。