1年生の頃から“未来のエース”と呼ばれてきた日向君は、いつの間にか東高校の本当のエースになっていたらしい。
その意味を知っていたら、体育祭の時におめでとうって言えたのに、何も言えなかった自分を悔やむ。
「来年は大学からの推薦も沢山来るだろうね。翔也が言うには、プロチームから誘いが来る可能性もあるらしいよ」
「・・・そうなんだ」
今、改めて日向君の凄さを思い知らされた気がする。
そんな凄い人を好きになってしまった私って一体・・・。
なんだか劣等感に襲われ、目の前に広げてあったお菓子を無意識のうちに一つだけ口に運んだ。話してばかりで、お菓子は全然減っていない。