「よー、大地」

「おー」


部室に入ってきた人物を声で特定し、平松だと判断する。適当な返事を返して、俺の視線は一枚の紙切れ。


パイプ椅子にもたれかかりながら、今にも切れそうな蛍光灯に透かして見るが、書かれている文字に何ら変わりは無い。



「何、それ」

「秘密~」



それだけ言うと、ふ~んと鼻で返事をして何も聞いてこなかった。まあ、特に秘密というものではないのだけど。


紙に書かれた活字。小さいそれは皺だらけで、土と砂埃で少しだけ薄茶色になっている。



好きな人(異性として)、ねぇ・・・。



「んー」

「珍しい。大地が唸るなんて」

「俺だって悩むさ」