日向大地side


彼女の事を―――相川さんのことを知ったのは、入学式の日だった。


青空を切り裂くように伸びている梢につくピンクの花弁が、風に揺られ踊っている。


そんな花吹雪のを見上げるように、微笑む一人の女の子。


思わず息をのんだ。


特別美人とか、かわいいとか、そういうわけではないけれど、俺の中で彼女は今まで見てきた誰よりも可愛く見えたんだ。


青空と、ピンクの花弁と、彼女の笑顔はまるで有名な絵画のように美しくて。


きっと、一目惚れだったんだろう。


15歳の俺に、その答えはすぐ分からなくて、ただただ廊下でしか会えない彼女を瞳で追っていた。