物心付いたときから、か。


「だけど」

「そ。アイツには平松って言う俺よりカッコよくて、頭もよくて、サッカーも上手い完璧な彼氏がいる」

「・・・」

「俺さ、自惚れてたんだ。ほら、よく漫画とかである幼馴染の恋って、大体が両思いだったりするじゃん?だからいずれ自然とそうなるんだって思ってた。だけど高校に入ったらあっさり平松にあいつ持ってかれたよ」


息が漏れるように笑う葉月君に、私は何も言えなかった。

頑張れ、なんて言葉はきっと彼には残酷すぎる。

だって平松君は、葉月君にとって莉奈と同じぐらい大切な人だから。



「いつの間にか、手を伸ばすことさえ許されなくなってた」