「俺は―――・・・」



目の前の救急箱に入ってるギュウギュウの治療具をジッ、と見つめる日向君。

だけど彼の瞳は、それを捉えていないようにも見えた。遠い未来を見てるような、そんな瞳だった。



「まだ何も考えてねぇや」


そう言って少し笑いながら、救急箱の蓋を閉めた。


「そ、っか」


「適当に入れる大学入って、就職してって未来しか俺には思い浮かばないや」