日向君の体操着を掴む力が強くなる。

息切れしながら走る日向君は「おう・・・っ」と小さく声にした。

莉奈のことをお姫様だっこしている間に、二人の距離は縮まったためついに日向君は葉月君と並んだ。


「ぜっ、てぇ、負けねー」

「俺も、負けるわけには・・・っ、いかねぇんだよ・・・っ!」



うおおおおお、と走る二人。

だけど、葉月君はさっき私のために走ってくれて疲れてるし、日向君も葉月君より長く私を持っている。

どちらも疲れている、はずなのに。



「健人!日向大地に負けんじゃないわよ!!」

「当たり、前だ!」