砂埃が揺れる髪の毛に入り込む。肌に当たるそれはチクチクと痛い。 全校生徒が期待を浮かべながら、誰が一番最初に動くか待っていた。そんな中、一番最初に声をあげたのは―――。 「莉奈!」 葉月君だった。 周りにいた男子たちがヒューっと茶化す。 「幼馴染の腐れ縁ってやつ、頼むよ」 隣にいる私にしか聞こえない小さな声で、葉月くんは莉奈に耳打ちした。 「しょうがないなぁ」 どうやら葉月君は「好きな人」としての意味ではなく、先ほどの私のように「仲のいい」莉奈を選んだようだ。