「あの人って本当にモテるんだね~」


莉奈がうんうん、と頷く。





「ひなた、だいち。……か」


小さく呟いた慣れない名前。ゆっくり紡いだ名前は、賑やかな教室の笑い声に溶けて消えた。


クラスが違う私は名前を知ってるだけで、後は情報通の莉奈がくれる情報しか知らない。無論、彼が私の名前を知ってるかも定かではない。


そういうわけだから、接点は何も無い。


接点というわけではないが、体育の授業が三クラス合同で行われるので、そこで彼の姿を見る事がある程度。


だから関わりがあるなんて言えるには皆無で、そんな彼と瞳が合うのはきっと偶然だ。