――――――日向大地。




学年で彼を知らない人は、恐らくいないだろう。

いわゆる彼は“学年の人気者”という存在だ。


無造作にセットされた黒髪、切れのある奥二重に、笑うとクシャっとする小さな顔は異性にとって魅力的なものだった。


そんなに容姿端麗だと一見近寄りがたく思われるが、彼は人見知りをしない性格なのか、誰でも気軽に話しかけられるほどフレンドリーらしい。


女の子から人気があるとなると、同性から嫌悪されそうだが、そんなことは一切なく、彼の周りにはいつだって人がいる。


廊下から聞こえてくる彼の声はいつだって笑い声だ。


この学年の廊下は、彼のためだけにあるかのように、彼が廊下に出て誰かと喋れば、すぐに人が集まる。