「翔也、あの子誰」



それはとても低い声だった。




「葉山琴美って言って1年のマネージャーだよ」

「ふ~ん」




それ以降の会話は耳に届かなかった。



だって、遠ざかっていく背中が横を向くたびに見える笑顔が楽しそうで、隣を笑う女の子も先ほどの作り笑いとは比べ物にならないくらいの笑顔を向けていて。




『大地先輩!』



そう呼ぶ彼女の声が、また聞こえた気がした。