喉の奥がチリチリと焼けつくようで、体が水を欲している。


今、美乃はなんて言った……?


頭の中を整理したいのに、耳をつんざくような雑音が邪魔をする。
静かな病室には、蝉の鳴き声がよく響く。
そして、俺の心臓もそれと同じくらい大きく響いている。


『モウスグ死ヌンダヨ』


ようやくさっきの美乃の言葉を理解した時、残忍な現実が俺をどん底に突き落とした。


なんとなく感じていた不安は、このことだったのかもしれない。
自分が死刑宣告をされるよりも、ずっとショックを受けたような気がした。


美乃が長期入院をしていることを知っている以上、こういう残酷な事態を今までに一度も考えなかったわけじゃない。
だけど、知りたいと思っていた真実は、俺にとって、そして誰よりも美乃にとって、残酷で悲しいものだった。


美乃の病気は治らない――。
彼女は十五歳の時には、既に『二十歳まで生きられない』と、医者から宣告されていたのだ。


十五歳だった美乃にとって、いったいどれだけつらかったんだろう。
同じ年頃の時には大した苦労もない学生生活を送っていた俺には、それがどれほどのものだったのかなんて想像もつかない。


自分のことよりも周りを気遣い、誰にでも分け隔てなく優しく接し、そしていつだって笑顔を絶やさない美乃。
それでも、彼女がその心の内に抱えているであろう苦しみや傷を、ずっと知りたいと思っていた。


だけど……。
知らされた現実は、あまりにも残酷で……。
俺なんかでは、どうすることもできなくて……。


そんな感情のすべてを携えた溢れ出す涙を、もう拭うことすらできなくなっていた――。