「おじいちゃまとおばあちゃまは、どうしてこうのはなを開業しようと思ったんですか?」

「ああ、それわたしも気になる」雅美が続いた。

「ただのお節介だよ」トシさんは穏やかに言い、楽しそうに笑った。

「こうのはなの開業を提案したのはわたしだったかな?」茂さんが言った。

「そうなんですか?」薫子が返した。

まあまあ、とトシさんは笑う。「わざわざ人様に話すようなことでもないから」

「そうなんですか? わたしは気になりますよ」

「聞いていてもつまらないよ」茂さんも言った。「途中で眠って、羊羹を詰まらせてしまうよ」

「そうでなくたって、詰まらせないようによう噛んで食べるのにね、羊羹って」雅美が言うと、薫子はふははと笑った。両手で顔を覆い、ふふふと背を震わせる。

「笑う人なんかいるんだ」思わず口に出すと、「恭太が冷めてるのよ」と雅美は得意げに言った。

「そうだ、義雄。僕からもいくつかいいかな」

「ああ。そういえば今朝言ってたな」

「うん。僕も、できればトシさんと茂さんにも聞いてほしいんですが……」

なんだって聞くよ、と二人は穏やかに頷いた。ありがとうございますと返す。