「まず、季節限定メニューとかあると面白そうじゃないですか? デザートの一つに羊羹と水羊羹、抹茶羊羹があるので、春には桜羊羹――みたいな。秋には栗羊羹、冬には蜜柑羊羹――みたいな」

「夏は?」

ばれましたか、と薫子は苦笑した。「そうですねえ……。じゃあ、バナナ羊羹とパイン羊羹」

「ああ、バナナはちょっと美味しそう」

「ちょっと待て、作るのおれだから。方法が全く思い浮かばない」

「普通に羊羹に混ぜちゃえばいいじゃない」飲み物を持ってきた雅美が言った。「楽しそうな話してるじゃん」

「季節の限定メニューみたいなのがあれば面白そうだなと思いまして」

「へえ。なにか思いつけば、こうのはなも一気に栄えそうね」

「言い出しっぺ、ちょっと羊羹しか考えてないんですがね」薫子が苦笑すると、「別にいいじゃない」と雅美は笑った。

「今まで限定メニューなんかないでやってきたんだし。考えるとしても急がなくていいよ」

「雅美はなにかないか?」義雄が言った。

「さあねえ……。きな粉アイスとか? バニラアイスにきな粉ぶっかけるの。それに黒蜜もかけた黒蜜きな粉アイスとか」

「なんかすでにありそう」僕は苦笑した。

「誰も思いつかないような絶品を思いつくなら、月一ででも新メニュー出してるよ」雅美は苦笑し、ペットボトルを開栓した。