朝食後、僕は日焼け止めクリームを塗り、黒のパーカーを羽織って居間へ戻った。雅美が祖父母とテレビを観ていた。義雄は台所で食器を洗っている。

「僕買い物行きますけど、なにか必要なものあります?」

「どこ行くの?」と雅美が振り向いた。

「そこのディスカウントストア。店のも家のもトイレットペーパーの残りが少なかったから」

「そう。わたしは特にないかな。おばあちゃん達はなにかある?」

雅美の問いへ「ううん」と首を振るトシさんに、「なにもないよ」と穏やかに茂さんが続いた。

「じゃあトイレットペーパーだけお願い」

一人で大丈夫かと続ける雅美へ、二年も前に成人してんだよと笑い返す。「じゃあ行ってきます」と残して居間を出た。

「義雄はなにかある?」食器を洗う背へ問うた。

「そうだな……じゃあさきいか」

「了解。僕も少しもらうよ」

「しゃあねえな」と笑う義雄へ「行ってきます」と返し、玄関へ向かう。