「ゆっくりな。丁寧にな」
階段の上からの義雄の何度目かの言葉に「わかってるって」と苦笑する。
「落としたら負傷すんのお前だからな」
「わかってるから集中して」これで落とされたら堪ったものではない、とは腹の中に続けた。
「横……てか、こうしよう」義雄は言いながら首を動かした。横に広いこの箱を立てたいらしい。
「うん」
三つ数える義雄の声に合わせて箱を立てた。「ゆっくりな」と言う義雄へ「はいはい」と返して箱を廊下へ下ろす。
下で玄関の扉が開いた。「行ったねえ」と雅美が感心したような声を発する。「とりあえず男だから」と返すと、義雄が「片方初老だけどってか」と続いた。「ほっとけ」と笑いを続ける。
僕は階段を下り、薫子と雅美から袋を受け取った。
「今何時?」僕は階段を上りながら言った。「二時半」と雅美が後ろから答える。
「今夜までには部屋作れるね。部屋自体とエアコンの掃除だけだし」
階段を上りきると、僕はベッドの箱の前に袋を置いた。
階段の上からの義雄の何度目かの言葉に「わかってるって」と苦笑する。
「落としたら負傷すんのお前だからな」
「わかってるから集中して」これで落とされたら堪ったものではない、とは腹の中に続けた。
「横……てか、こうしよう」義雄は言いながら首を動かした。横に広いこの箱を立てたいらしい。
「うん」
三つ数える義雄の声に合わせて箱を立てた。「ゆっくりな」と言う義雄へ「はいはい」と返して箱を廊下へ下ろす。
下で玄関の扉が開いた。「行ったねえ」と雅美が感心したような声を発する。「とりあえず男だから」と返すと、義雄が「片方初老だけどってか」と続いた。「ほっとけ」と笑いを続ける。
僕は階段を下り、薫子と雅美から袋を受け取った。
「今何時?」僕は階段を上りながら言った。「二時半」と雅美が後ろから答える。
「今夜までには部屋作れるね。部屋自体とエアコンの掃除だけだし」
階段を上りきると、僕はベッドの箱の前に袋を置いた。