台所のすぐ右にある居間には、トシさんと茂さんが先にいた。雅美の祖父母で、少し前に卒寿を祝った。二人とも小柄で愛らしい笑顔の似合う、穏やかな性格の持ち主だ。
トシさんはいつも和服を着ており、真っ白な髪の毛を簪でまとめている。簪は、かつては毎日のように違うものを使っていたが、五年ほど前に米寿祝いに僕が贈ってから、手毬を模した薄い赤紫色と金色で模様が為された玉のついた玉簪を使ってくれている。
茂さんは農作業と庭木の手入れが趣味の男性だ。彼の米寿祝いには湯呑みを贈った。茂さんが頻繁に手入れをしている木は、下で雅美と義雄が中心となって経営している食事処――こうのはなの出入り口を年中青々と彩っている。
僕は座卓を囲む五枚の座布団のうち、居間の出入り口に近い場所にある茶色の座布団に座った。それが僕の座布団だ。
トシさんはいつも和服を着ており、真っ白な髪の毛を簪でまとめている。簪は、かつては毎日のように違うものを使っていたが、五年ほど前に米寿祝いに僕が贈ってから、手毬を模した薄い赤紫色と金色で模様が為された玉のついた玉簪を使ってくれている。
茂さんは農作業と庭木の手入れが趣味の男性だ。彼の米寿祝いには湯呑みを贈った。茂さんが頻繁に手入れをしている木は、下で雅美と義雄が中心となって経営している食事処――こうのはなの出入り口を年中青々と彩っている。
僕は座卓を囲む五枚の座布団のうち、居間の出入り口に近い場所にある茶色の座布団に座った。それが僕の座布団だ。