「恭太君、誕生日はいつなんですか?」

「二月。二月八日」

「おお、わたしとちょうど半年違うんですね」

「ああ、そうだね」

「ちなみに何歳なんですか?」

「二十二。薫子からしたらもう結構な歳だろうね」

「そんなことないですよ」薫子は穏やかに言った。「二十二歳なんて、一番素敵な年齢じゃないですか? 色々知ってるけど、若さも残ってて」

「ああ……。それ、僕にとっては二十代後半かな。三十前くらい。それくらいが、知ってる色々の中に落ち着きも入ってくる頃かなと」

「へええ、そうなんですねえ……」

「三十前なんて初老じゃねえかって感じ?」

僕が笑うと、薫子はいやいやと苦笑した。

「この時代百歳以上の方も多いんですよ? そんな方々から見たら三十前なんてようやく危なげなく歩けるようになった子供のようなんじゃないですか?」

「おお」トシさんから見たら、僕もまだ危なっかしいのだろうかと思った。

「そういえば……というか、全然関係ないことなんですけど、電気消さないんですか?」

「眩しい?」

「いえ。公園にいるとき、暇潰しのような感覚で寝たりしてたので明るいところで寝るのは苦ではありません。ただなんとなく思っただけです」

「……そうか。あまり暗いと落ち着かなくてね。せめて常夜燈くらいにするか」

上体を起こして天井から垂れる紐を引くと、薫子は「なんかすみません」と苦笑した。