「他のご家族はわたしが行った場合に、どんな反応しますかね?」

「別に大きな反応はないんじゃないかな」

訊いてみるかと言いながら携帯電話を取り出すと、少女は先に訊いてないんですかと声を上げた。

「君がこれほど困っているとは思わなかったしね。ただこの公園が好きなだけという可能性も大いにあった」

僕は義雄へ、「今から人を連れて行ってもいい?」とメールを送信した。

しばらくして「返信きませんね」と少女が呟いた頃、手の中の携帯電話が義雄からの返信を知らせた。

内容を確認し、僕は「よかった」と声を発した。「問題ないってさ」

「いい人過ぎて怖い程ですね」

「僕の家族はそういう人なんだ」

「ご家族と仲いいんですね」

「一見は結婚の難しい男だろうね」僕は苦笑した。

「結婚してるんですか?」

「たった今五人家族だと言ったでしょう」

ああそうか、と少女は苦笑した。

「それで、どうする? 突如現れた通りすがりの黒パーカー男を存分に利用してやるか、もっと良さげな人に声を掛けられるのを待つか」

「お兄さんほどいい人はいませんよ、きっと。だけど、本当にいいんですか?」

「皆問題ないと言ってるし」

「三年……ですか」

「それ以上でも未満でも構わないよ。好きにしてくれたらいい」

「……じゃあ」三年間、と少女は呟いた。

「うん、いいよ」