もしも、と少女は小さく言った。「わたしがお邪魔すると言ったら、どうするんですか」

「……君、八日に誕生日を迎えたと言ったけど、いくつになったの?」

「十七歳です」

「そうか。それなら、三年もすればアパートが借りられるようになる。それまでこうのはなで働けばいい。さすがに四人で店を回すのはそこそこきつくてね。もしもきてくれるならこちらも助かるんだ」

「それが目的ですか?」

「まさか」僕は苦笑した。「一番の目的は君のためになることだよ」

「気持ち悪いこと言いますね」

「本音なんてそのまま口にすればそう思われるものばかりだよ」

「三年、か……」長いな、と少女は呟いた。「そんなにいて、邪魔じゃないんですか?」

「大丈夫だよ。決して広い家ではないけど、一人くらい増えても問題ない。部屋も用意できる」

「準備万端ですね」

「偶然だよ」僕は苦笑した。「前はあの家で、僕の母親と妹、その両親と祖父母が暮らしてたんだ。六人家族。今は母親の両親と妹がいないから、僕と両親、曾祖父と曾祖母の五人で暮らしてる。だから一つ部屋が空いてるんだ」

へえ、と少女は小さく発し、幾度か頷いた。