義雄が皆のものと一緒に持ってきた皿には、麺の存在を疑う程の野菜が盛られていた。「蕎麦にしなかった罰だ」と笑う義雄へ、「この罰なら褒美のようなものだ」と同じように返す。

「育ち盛りだからね。たくさんお食べ」茂さんは穏やかに言った。

「成長期はちょっと前に多分終わってます」と僕は苦笑する。

雅美は前に置かれた食事へ礼を言ったあと、身を乗り出して僕の皿を覗き、「ものすごい量だね」と苦笑した。「麺がのびそう」

「まあまあ、それくらいなら可としよう」

いただきますと手を合わせ、箸を持ってから僕は苦笑した。「どこから手つけるか」

食後、僕は食器を洗った後、「ちょっと出掛けてきます」と居間にいる四人へ報告した。

「外套」と言うトシさんの直後、「日焼け止め忘れないでね」と雅美が言った。

「これから塗るし着ます」

先に「行ってきます」と告げると、四人は「気をつけて」という旨の言葉で声を重ねた。

歯を磨いてから自室に入った。

顔や腕に日焼け止めを塗りながら、僕は自分が他人へできることを考えた。幸福しか知らない僕にできること――。その幸福を分けることくらいしか浮かばなかった。新しいものを理解することができないなら、知っているものを差し出す他ない。