「それより恭太。その目どうした。誰かに殴られたか?」

いやいやと僕は苦笑する。「まも兄じゃないんだから」

「まあそうか。えっ、怪我か?」

「まあ……そんなところ」

そうかとまも兄は頷いた。「元気そうでなによりだ」しかしかわいいなあ、と僕の頭を撫でる。「子供の頃かわいかった奴ってでっかくなってもかわいいんだな」よしよしと僕の頭を撫でながら、「我が妹もこい」と彼は言った。

妹、と不思議そうに言いながら、薫子も隣にきた。よしよしとまも兄は薫子の頭も撫でる。「かわいい弟にかわいい妹。おれ幸せ」

「それよりだ。まもる、お前は今なにしてる?」

義雄が言うと、まも兄はぴたりと手を止めた。「しょうがないっすねえ。じゃあ妹への自己紹介がてら、おれの武勇伝聞かせてやりますよ」