風呂を上がって戻ると、雅美はプリンを食べていた。ぎりぎりのところまで剥がされた蓋には半額の文字が貼られている。

トシさんと茂さんはニュース番組を観ていた。

「今日、薫子と互いのことを話したんだけどさ」僕は言いながら座布団に座った。「雅美達はなんで僕を引き取ってくれたの?」

雅美はふわりと笑みを浮かべた。「懐かしいなあ」とスプーンを置く。

「まず、義雄に逢ったのが――」

ううん大丈夫、と僕は雅美の言葉を遮った。「さらっと教えて」

もうと雅美は口を尖らせる。

「子供がほしかったんだけど、できなくてね」雅美は穏やかな口調で話した。「病院に行くかとも考えたんだけど、その頃に、ドラマ――映画だったかな。に、養護施設が出てくる場面があったの。それで色々調べて、一人でもそういう子をどうにかしてあげられるならと思った」それだけよ、と雅美は笑った。

「そう……」

「なんで?」

「ううん、なんとなく気になっただけ。ここにこられたおかげでまも兄とか薫子にも逢えたんだと思って」

「それはわたし達もそうだよ。恭太がいたから薫ちゃんに逢えた」この歳になってあんなかわいこちゃんに逢えるとはねと雅美は不気味に笑う。