学校を辞めてから母の態度が変わった。母は退学に否定的だった。だから父に保護者として手続きに携わってもらった。

父が「よく決断した」「しばらく心身を落ち着けるといい」と言う横で、母は学校に行かないのであれば働けと言った。それも尤もな言葉だった。高校中退で勤務経験なしとなれば、いざ職を探すとなったときに苦労するのは目に見えていた。

わたしはアルバイトをするでもなくぼんやりと日々を過ごした。まともに働ける状態でないことは自分でよくわかっていた。

母からはやがて、働かないのであれば家を出ろと言われるようになった。いつまで子供のようにいるつもりだと彼女は言う。子供みたいな理由で学校を辞め、うじうじと子供のように引きずっている、早く大人になれ――。毎日のように言われた。

何度か家を出ろと言われた頃、わたしは母からも逃避した。父がなんらかの行動を起こしてくれると思っていた。彼が探してくれたり、警察に連絡したりという展開を期待し、望んでいた。

しかし、世は未だ酸味さえなかった。ショッピングモールや図書館などの公共施設でいくら日を潰しても、父のも警察のも救済は訪れなかった。母がそれを阻止したのだろうと想像した。

七月頃に救済は訪れたが、それは見知らぬ女性によるものだった。