「そういえば恭太君は何部に入ってたんですか?」

「茶湯部」

「ああ、なるほど」すごいおいしいですと笑顔を見せる薫子へ、恐れ入りますと会釈する。

「茶道部じゃなくて茶湯部なんですね」なんかお洒落と笑みを浮かべ、薫子は抹茶を飲んだ。

「まもるさんとは、あれから会えました?」

僕はかぶりを振った。「まだ」

「そうですか……」

「まあ、彼なりにどうにかやってるんじゃないかな」良くも悪くも真っ直ぐな人だからと笑うと、薫子はそうですかと穏やかに笑った。ふわりとそれを消して茶碗へ視線を落とす。

「なんか恭太君のお話聞くと、色々考えますね。真っ先に思ったのは、所詮血の繋がりなんて大したものじゃないのかなと」

「そうかもしれないね。肉親より恋人が大切だという人もいるだろうし」

「血縁関係があればそれなりの愛もあるんだと思ってましたが、そうでもないのかもしれませんね」

僕は唾を飲んだ。「薫子は……なにがあったの?」

薫子はくすりと笑った。「退屈になって寝ても知りませんよ?」