そして公園にいる薫子を見つけた、と僕は言った。薫子は茶碗を眺めていた。

「……どうしてわたしなんかを助けてくれたんですか?」

「わかってもらえたように、僕は幸せ者なんだ。だから、人の苦悩を本当の意味で理解することはできない。だけど幸せを提供することはできると思った」実際はなにもできてないけどと僕は苦笑した。無力だなと改めて思った。

薫子はゆっくりと顔を上げた。「恭太君は、なにもできない人なんかじゃありません。恭太君は確かにわたしを助けてくれました」

「そうかな」

「そうですよ」恭太君は自分を見縊ってるんですと薫子は小さく笑った。「恭太君がいなければ、わたしはきっと公園で死んでました。ぎりぎり他の人に助けられたとしても、部屋ではまず一人でしょう。こうのはなほどいい場所で働くこともできませんでした」

「そうかな」

ええ、と薫子は頷いた。