後日登校した時間が重なり、駐輪場で長森とその親友に謝罪された。

「目、本当に着けてなきゃいけないんだね」親友が言った。「本当にごめんなさい」と長森が頭を下げる。周囲に人がいなかったことが幸いだった。僕の中にのみ存在する架空の儀式を行っているなどと想像を膨らませられたら不快だ。

「一発……いや二発、あたしのこと殴っていいよ。長森の分はあたしが受ける」

「別にそこまで怒ってない」

慣れてると残して僕は教室へ向かった。

あの一件を機に彼女らとは互いに暇を潰す仲になった。事故や目のことを知っているのが同級生で彼女らだけだった僕にとって、いつしか二人は気楽に接することのできる相手になっていた。

中学校を卒業後、親友は私立の女子校へ、長森は福祉科のある高校へ進んだ。僕はこうのはなの手伝いに尽力した。これ以上同い年の人々と一緒にいたくないと感じたのもその決断に大きな刺激を与えた。親友や長森のような形は稀だと思った。