「長森の告白断ったんだって?」数日後、男勝りな女子生徒に言われた。普段の様子から推測するに、あの物静かな女子の友人だ。

「なんで断ったわけ?」

「別に関係ないだろ」

「関係なかねえよ。あたしゃ長森の親友なの。その長森がへこんでんだもん関係あんだろ」

「あいつの告白に至った動機がおれには不純だったんだよ」

「へえ」じゃああたしならどうよと彼女は言った。

「あたしは好きだよ。竹倉の痛いところも、髪染めてるところも」

僕は深呼吸して気を落ち着かせた。うるせえと返した声はぽつんとしたものだった。「両目使えんだったら地毛か染髪かくらい見分けろばーか」ぽつぽつと並べながら僕は席を立った。「え?」という彼女の慌てたような声を聞き流して廊下へ向かった。

「えっ、それ地毛なの? うそ本当に? てか待って、じゃあ……」