梅雨明けが発表されておよそ一週間が経過した七月の末だった。
僕は平穏な時間の流れた学校を離れ、幾度となく歩いた通学路を歩いていた。横断歩道の先に光る歩行者用信号は、確かに青く光った。僕はぼんやりと足元を眺めて点字ブロックの外へ足を出した。
横断歩道を半分程渡った頃だった。ふいに全身に強い衝撃が走り、意識を失った。
目を覚ましたときには視界が妙だった。目元の違和感に手を伸ばすと、怪我をした際に触ったことのある感触が指先を刺激した。包帯だと認識するには数秒を要した。
「気分は?」雅美の声が静かに問うた。
「大丈夫」と答えると、彼女は「そう」と静かに頷いた。無事に済んでよかったと言う雅美の声は頼りなく震えていた。
「雅美……? 僕……」なにがあったのかと記憶を辿ろうとしたが、ぼんやりとした頭ではそれも容易いことではなかった。
僕は平穏な時間の流れた学校を離れ、幾度となく歩いた通学路を歩いていた。横断歩道の先に光る歩行者用信号は、確かに青く光った。僕はぼんやりと足元を眺めて点字ブロックの外へ足を出した。
横断歩道を半分程渡った頃だった。ふいに全身に強い衝撃が走り、意識を失った。
目を覚ましたときには視界が妙だった。目元の違和感に手を伸ばすと、怪我をした際に触ったことのある感触が指先を刺激した。包帯だと認識するには数秒を要した。
「気分は?」雅美の声が静かに問うた。
「大丈夫」と答えると、彼女は「そう」と静かに頷いた。無事に済んでよかったと言う雅美の声は頼りなく震えていた。
「雅美……? 僕……」なにがあったのかと記憶を辿ろうとしたが、ぼんやりとした頭ではそれも容易いことではなかった。