目を覚まし、確認した携帯電話は土曜日の十時半であることを伝えた。随分寝たなと思った。
胸元に紫色の睡蓮が描かれた白のティーシャツとジーンズに着替え、卓上鏡の前で眼帯を着けている途中、玄関の扉が閉まる音がした。
僕はブレスレットを持って部屋を出た。洗口液で口を濯いだあと、ブレスレットを着けて居間へ入った。義雄と雅美がさきいかを食べていた。
「おはよう」と振り向く雅美へ「おはよう」と返し、「いかうまいぞ」と言う義雄へ「そりゃよかった」と返す。
「で、トシさん夫婦はお出掛け?」
「ううん。おじいちゃんは野菜の収穫、おばあちゃんは大福が食べたいらしく、なごみに行った」雅美が言った。
「そう。トシさん一人で大丈夫かな」
「大丈夫でしょう。なごみは行き慣れたお店だし、おばあちゃんしっかりしてるから」
「まあ……」
僕がさきいかへ手を伸ばすと、義雄は「あーあ」と呟いた。彼から目を逸らすように視線を移した先にトシさんの財布があった。
僕は咄嗟に「ちょっと待って」と発した。さきいかを口へ収めたあとに手を払って財布を手に取る。
「ちょっと行ってくる」と残して僕は居間を出た。「日焼け止め塗った?」という雅美の声へ「言ってられない」と返す。
胸元に紫色の睡蓮が描かれた白のティーシャツとジーンズに着替え、卓上鏡の前で眼帯を着けている途中、玄関の扉が閉まる音がした。
僕はブレスレットを持って部屋を出た。洗口液で口を濯いだあと、ブレスレットを着けて居間へ入った。義雄と雅美がさきいかを食べていた。
「おはよう」と振り向く雅美へ「おはよう」と返し、「いかうまいぞ」と言う義雄へ「そりゃよかった」と返す。
「で、トシさん夫婦はお出掛け?」
「ううん。おじいちゃんは野菜の収穫、おばあちゃんは大福が食べたいらしく、なごみに行った」雅美が言った。
「そう。トシさん一人で大丈夫かな」
「大丈夫でしょう。なごみは行き慣れたお店だし、おばあちゃんしっかりしてるから」
「まあ……」
僕がさきいかへ手を伸ばすと、義雄は「あーあ」と呟いた。彼から目を逸らすように視線を移した先にトシさんの財布があった。
僕は咄嗟に「ちょっと待って」と発した。さきいかを口へ収めたあとに手を払って財布を手に取る。
「ちょっと行ってくる」と残して僕は居間を出た。「日焼け止め塗った?」という雅美の声へ「言ってられない」と返す。