白味噌の天地返しを済ませると、僕は居間へ行った。ニュース番組が流れているテレビ画面の左上には「8:14」と表示されている。

僕は自分の座布団の上で脚を抱えた。

「本当、冬なんてなんのためにあるんだろう」言ったあと、ぞくぞくとした寒さが身を走った。

「本当に寒がりだよね。部屋の方が少し狭いし、暖かいんじゃない?」雅美は言いながらエアコンのリモコンを操作した。

「なに言ってんの、この寒さの中一人なんかでいたら孤独しか感じないじゃん」

「そう……」じゃあぎゅってしてあげようかと言う雅美へ、気持ちも要らないと返す。雅美はそれもそうねとぽつりと苦笑する。僕は少し複雑な気持ちになった。

「そういえば、恭太ももう今年二十三か」雅美はしみじみと言った。

「なに、改めて」

「なんか、大きくなったなあと思ってさ。あんなにちっちゃくてかわいかったのが、義雄の身長までも超えちゃってさ……」

「ここ数年毎年聞いてる気がする」

雅美は目元に指を当てた。「成長だけじゃなくてさ、もうこんないい子であることがもう……」

おお、と僕は苦笑する。「なんだなんだ」

「だって、別に望んでたわけでもないだろうにもこんなところにきてくれてさ。ずっといてくれてさ」

「別にここにいるのは苦じゃないし……。雅美達に逢えたことは幸運だと思ってるし」

彼女らの役に立つことが僕なりの恩返しだと思っている。