夢から覚めると同時に目を開いた。見慣れた天井に視界が満たされる。

まも兄との夢を見た。キャッチボールをしている夢だったが、突然、彼を見送る場面に変わった。懐かしいな、と思った。

ふいに戸が開いて目をやると、薫子がびっくりしたと声を発し、「おはようございます」と笑みを浮かべた。

「まだ早いですよ」六時半です、と薫子は壁の時計を見て言った。「恭太君はもう起きるんですか?」薫子はベッドに座り、不苦郎君を抱いた。

どうしよう、と言ったあと、僕は「起きようかな」と上体を起こした。今日はやりたいことがあった。

「薫子はまだ寝てていいよ」

「いえ、わたしも起きます」

そう、と僕は頷いた。「このあとやることがあるんだけど、一緒にやる?」

いいんですか、と薫子は表情を明るくした。「なんだかよくわからないけど、やりたいです」

「わかった」顔を洗ってくるから少し待ってて、と言うと、彼女は「あっ、はい」と小さく頷いた。