「そういえば今日は月曜日ですね。恭太君、今日お休みなんですよね」

「ああ、うん」

「恭太君のいないこうのはなって成り立つんですか?」

「店くらい、誰がいなくたって成り立つよ。義雄も雅美も休むんだから」

「義雄さんがいないときつくないですか?」

「そうでもないよ。雅美も実際のところ仕事はできる人だから」

「へええ、なんかかっこいいですね。じゃあ、決めました。わたしは雅美さんのような大人になります」

「それは……どうだろう。昨夜の団扇だの扇子だのを忘れた?」

「あれはわたしの憧れるギャップです。あんな美人さんがダジャレぶっこんでくるとは思いませんから」

「何事にも囚われ過ぎないようにね」

はいと大きく頷く薫子へ「無理は禁物だよ」と返し、顔を洗ってくると告げて部屋を出た。