ほっこり処 こうのはな〜幸せの砂時計~

気に入った様子で不苦郎君のぬいぐるみを眺める薫子へ「買ってきな」と千円札を二枚渡すと、彼女はしばらくしてから大きく膨らんだ袋を持って店を出てきた。「ありがとうございます」と嬉しそうに笑顔を見せる薫子へ「全然」と返した。

中途半端な時間が働いているのか、フードコートに人は少なかった。コート内にあった店でアイスを購入し、近くの席に着いた。

「さっきから思ってたんですけど」薫子は笑いながら言った。「こうして二人でいると、周りの方からはどう見えるんでしょうね」

「どう、と言うと?」

薫子はアイスを掬ったスプーンを口に入れた。

「恋人同士なんかに見えちゃったりするのかなあ、なんて」

「どうなんだろうね。見る人によって違うんじゃない?」

僕はアイスを掬って口に入れた。バニラアイスなど何年ぶりだろうと考える。

「まあ、そうですよね。でもそれなら、わたしは一人でも多くの方に恭太君の妹に見られたいです」

「妹……僕なんかの?」

「はい」薫子はあっと声を漏らしたあと、「いえ」と否定した。「恭太君だから、妹に見られたいんですよ?」

「そう」言いながら頬が緩んだ。かわいいことを言う子だと思った。