「大丈夫よ、きっと他の女性はこんなんじゃないから」

怖い怖い、と義雄は苦笑した。「でもまあ、作ってみる価値は大いにあると思う。やってみるか」

「それとわたし、今日茂おじいちゃまが作ってくれた梨のアイスみたいな飲み物、気に入っちゃったんですよ」あれって簡単に作れますか、と薫子は茂さんを見た。「わたしが作れたんだ、なんら難しいことはないよ」と茂さんは楽しそうに笑った。

「それなら、あれも是非メニューにして欲しいです。本当においしかったので」

「そうか」茂さん、と義雄は言った。「今度教えてもらっていいですかね」

「構わないけど、たまにはわたしも役に立つよ」

おやおや、と義雄は眉を上げた。「本当ですか。それは嬉しい。薫の気に入った味がそのままメニューになるわけだからね」

「作る人によって変わるようなものでもないよ」はははと茂さんは穏やかに笑う。「しかし、人の役に立てるというのはいくつになっても嬉しいものだね」

よかったねしげさん、とトシさんは愛らしく笑い、茂さんの肩に手を載せた。