朝食と着替えを済ませて自室を出ると、居間から聞こえた雅美のくしゃみのあと、薫子が部屋から出てきた。
「桜結びだ」薫子のピンクと黒の紐でできた髪飾りを見て言うと、彼女はこちらを向いてそれに触れた。「雅美さんが作ってくれたんです」と笑顔を見せる。
「そう」と笑顔で返すと、「わたしも手先は器用なのよ」と雅美が居間から出てきた。僕は「その器用さにはお世話様になってます」と眼帯に触れた。
「皆もう行くの?」トシさんの声が言った。
「うん、そろそろね」
「そう」
「おばあちゃん、どうしたの?」
「義雄さんにプレゼントを持って行こうかとね」トシさんは楽しそうに言いながらグラスを流し台に置いた。「外は暑いから」と天然水を注ぐ。
「義雄、もうやってるの?」雅美が言った。
「ええ。早いうちにこうのはなをほっこり処にしたいのだと言っていたわ」トシさんは穏やかに薫子を呼んだ。「素敵な案をありがとうね」と笑顔で続ける。
「とんでもないです」と薫子は手を振った。
「もう長くやっている店だけれど、ほっこり処だなんて愛らしい言葉が付いたら、なんだか新しい店のように思えるね」
さてと、とトシさんは水の色が変わったグラスを手に持った。
「桜結びだ」薫子のピンクと黒の紐でできた髪飾りを見て言うと、彼女はこちらを向いてそれに触れた。「雅美さんが作ってくれたんです」と笑顔を見せる。
「そう」と笑顔で返すと、「わたしも手先は器用なのよ」と雅美が居間から出てきた。僕は「その器用さにはお世話様になってます」と眼帯に触れた。
「皆もう行くの?」トシさんの声が言った。
「うん、そろそろね」
「そう」
「おばあちゃん、どうしたの?」
「義雄さんにプレゼントを持って行こうかとね」トシさんは楽しそうに言いながらグラスを流し台に置いた。「外は暑いから」と天然水を注ぐ。
「義雄、もうやってるの?」雅美が言った。
「ええ。早いうちにこうのはなをほっこり処にしたいのだと言っていたわ」トシさんは穏やかに薫子を呼んだ。「素敵な案をありがとうね」と笑顔で続ける。
「とんでもないです」と薫子は手を振った。
「もう長くやっている店だけれど、ほっこり処だなんて愛らしい言葉が付いたら、なんだか新しい店のように思えるね」
さてと、とトシさんは水の色が変わったグラスを手に持った。