釜飯と親子丼を運んだあとに受けた注文の内容を義雄へ伝え、僕はトシさんの去ったレジカウンターへ入った。

「お会計二千八百円でございます」

女性客は「すみません」と言いながら二枚の千円札の上に二枚の五百円玉を置いた。

「三千円お預かり致します。――二百円とレシートのお返しでございます」

ありがとうございます、またご利用下さいませと頭を下げると、女性客はごちそうさまですと会釈して店を出た。

「すみません」という男性の声へ「ただいま伺います」と雅美の声が返す。

直後、女性と三歳くらいの少年が入店してきた。僕は品書きを手にレジカウンターを出た。

「いらっしゃいませ、カウンターとお座敷どちらになさいますか?」

「座敷で」女性が答えた。

「かしこまりました。ご案内致します」

十七番卓に案内し、僕は品書きを卓上に並べた。

「ご注文お決まりになりましたらお申し付け下さいませ」

失礼致しますと座敷を離れて戻ると、ざる蕎麦の載ったお盆が置かれた。「わたし行くよ」と言う雅美へ礼を言い、「十四番」と続ける。

僕は厨房へ入り、ひまわりが描かれたグラスに水を注いだ。二つのそれをお盆に載せて十七番卓へ向かう。

「失礼致します。お冷でございます」

「注文いいですか?」

「はい、承ります」

僕はグラスを並べたあと、お盆をそばに置いた。