失礼致します、ご注文をお伺い致します――。

「あじの塩焼き定食と、あじの蒲焼き丼――以上で」二人の女性客のうち一人が言った。復唱すると、女性客ははいと頷いた。

「かしこまりました、少々お待ち下さいませ」失礼致しますと頭を下げて座敷を下りた。雅美のいる厨房へ向かう。

注文の内容を伝えると、雅美は「ちょうどいいところに」と丼ぶりの載ったお盆を差し出した。天丼だという。

「あじの塩焼きと蒲焼き丼ね、了解」

僕は頷き、受け取ったお盆とともに座敷へ上がった。「すみません」という声へ「ただいま伺います」と返す。

「失礼致します。お待たせ致しました、天丼でございます」

座卓へお盆を置くと、女性客は「どうも」と会釈した。

「ご注文の品は以上でよろしいでしょうか」

「はい」

「なにか必要なものがございましたらお申し付けくださいませ」ごゆっくりどうぞと続け、失礼致しますと頭を下げて立ち上がった。