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薬を手に入れたアリムはすぐに自宅へと戻ってきていた。


鍛冶屋と書かれた看板のドアを開け、中に入る。


中は主であるアリムが留守にしていたせいで埃っぽかった。


壁際に並んだ木の棚には、いくつもの農機具がおかれている。


ここで、アリムは手作りの斧やクワを売って生計を立てているのだ。


しかし、その暮らしぶりはアリムの身なりを見ればわかる通り、裕福ではなかった。


店のカウンターを通り抜け、奥の部屋へと続くドアを開ける。


すると、そこには苦しそうに目を閉じている妹、サリエの姿があった。


「サリエ、今帰ったぞ」


薄い布団に包まれた妹に声をかける。


しかしサリエは反応を見せず、苦しい呼吸を繰り返す。


額は汗でびっしょり濡れ、ブロンドのやわらかな髪が頬にへばりついている。


「今、薬を飲ませてやるからな」


さっそく持って帰った薬のビンを1つ開け、赤い薬を取り出した。


妹の上半身を支えるようにして起こし、その口に薬を近づける。


「ほら、飲んでみろ。すぐに楽になるぞ」